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建物をブサイクにする斜線制限

まずその都市部で住宅の設計を進める際、設計者が一番苦労するのは、きっと斜線制限だろう。良好な住環境を保っている地域ほど、この規制はきつくなっている。確かにこの規制で、建て主の勝手な振る舞いが規制されているが、無理をして設計をすれば結果として建物の形態はブザマになり、その連続として街区の景観は損なわれていく。

街を歩いていて、思わず吹き出しそうになる滑稽な建物をよく見かけることがある。生活費に追われた心ない設計者が、小さな敷地に欲張った設計を強要する身勝手な施主の言いなりになった結果だ。されとて、この基準を作った委員の先生たちのセンスの欠如を責めるわけにもいかない。法律で規制するあまり、その逃げ口として生み出される建造物のブサイクさに気が付いて、そうならないための法改正が将来行われる機会があるのだろうか。ないだろうなあ。

幸い私の自邸の敷地はこの斜線制限が割と緩い。駅に近く、良好な住環境を維持するというより、利便性に比重を置いた地域計画のもと、店舗や小さなビルが混在している雑多な地域だからだ。ここでは三階までは斜線制限の影響は受けない。日頃から、この規制に悩まされ続けている私は、泣いて喜びたい心境になった。久々に均整の取れた建物がスッキリ建つ。それを聞いた妻は歓喜の雄叫び、いや雌叫びを放った。
「超、ウレシカァー」(口癖の長崎弁)

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