富ヶ谷の家
敷地の三辺が擁壁に囲まれ、そのうえ坂道の途中という極めて難解な条件下で、いかに安全で快適な住居を建設するか。
設計力が試される現場となりました。敷地の高低差を活用してRC造の地下車庫を築造することで、基礎が地中深くまで沈み、擁壁にかかる負担を軽減できました。
地上は二層の木構造として軽量化を図りながら、眺望がよく、開放感のある大胆な空間の創設に成功しています。
自邸の新築は二度目という経験豊富な施主の要望は、しっかりとした質感を感じる大人の空間。
石、木、鉄、ガラス、採用する素材を吟味しつつ、
新しい試みも随所に散らしています。夕刻時に間接照明が醸し出す陰影の有る室内空間には、施主が長年蒐集してきた数々のアンティーク家具が主役となって鎮座しています。
天井高が圧巻。リビング・ダイニング。
天井の高さは3.5m。
さらに垂直ラインを強調するデザインは、天井をより高く感じさせます。
グレー調の壁面に木調の格子がアクセントとなり、所々に見られるブラックガラスがモダンさを演出しています。
迫り来る外観
重厚感のあるRC造のガレージ上に、飛び出すようにバルコニーの壁がそそり立ち、圧倒的な存在感を放っています。
2階のアルミルーバーは、個室の窓のプライバシーを守る役目を果たします。
木製の玄関ドア
質感にこだわり抜いた結果、ウォールナットの無垢材で玄関ドアを製作しました。
直射日光が当たらない場所のため、経年劣化も少ないと思われます。脇の開口は、断熱性の高い複層ガラスで、なおかつ防犯ガラスになっています。
玄関ホール
広めの玄関ホールは、大理石風のタイルで重厚感を演出しています。
存在感のある大きな姿見(鏡)は、アートの役割も兼ねています。
明るい階段室
建物の真中に位置する階段室は、常時明るさを確保するために、ガラスブロックを採用しています。
階段板を支える鉄骨の梁には力強さを感じますが、デザインによって閉塞感を無くすことで、浮遊感のある軽やかな空間が生まれました。
最上階のリビング空間
南北に並ぶ、リビングとダイニング。
それぞれの開口部のサッシは折戸のため、開け放つと外部のベランダと一体化し、爽やかな風が吹き抜ける圧巻の空間に変貌します。
くつろぎの場
テレビ収納家具はあえて床から浮かし、軽快感を出しました。
大型テレビは壁面に固定することで、見た目も良く地震対策にもなります。
暖炉周りの壁面
暖炉風のガスファンヒーターを海外から取り寄せ設置予定。
周りの壁は煙突と一体化した形にデザインし、淡いグレー調の白河石の乱積みにしました。
オリジナルキッチン
セラミックタイルの大版を使用して、特注したオリジナルキッチン。
大理石調の天板に、木目の美しい黒柿の単板を合わせました。
コンロ背面の壁(バックスプラッシュ)には天然の大理石を貼り高級感を演出しています。
落ち着きのあるトイレ空間
少し広めのトイレ空間としました。
間接照明と木の表情を加えることで、ゆとりのある落ち着きが生まれます。