家を新築する時、それは人生最良の時かも
人生、結婚式に次いで晴れやかな瞬間が自宅を新築する時ではなかろうか。 翌日、三階の柱も交換され、午後には無事に棟木が座って屋根の小...
単行本『建築家が自邸を建てた』(その歓喜と反省の物語) 第4章です。
人生、結婚式に次いで晴れやかな瞬間が自宅を新築する時ではなかろうか。 翌日、三階の柱も交換され、午後には無事に棟木が座って屋根の小...
その後、清水棟梁の指示で、手際よく座敷が作られた。座敷と言ってもベニヤ板のテーブルに柱を横に並べてベンチの代わりにした簡単なもの。...
「加工を間違った材料は明朝のお届けになります。申し訳ありません」 真黒に日焼けした後藤さんが結論を出した時は、日はすっかり暮れてい...
時刻は午後三時を過ぎていた。とにかく無理をして組んだ屋根の部分をすべて解体することとなった。皆の疲労が一気に高まったのは間違いない...
ところが、それもつかの間、 「おーい、ちょっと待ってくれ!」 土屋棟梁の一声からその事件は始まった。工場で正確に加工されたはずの木...
現場は午後になって屋根を構成する登り梁の組み立てに入っていた。私もまだぐらぐら揺れる柱に抱きつきながら、梁伝いに三階の床レベルを歩...
職人達が引き上げた直後、子供達と爺ちゃん婆ちゃん達が現場を覗きに来た。 私と妻の両方の両親だから計四人。ガヤガヤ賑わしい。それぞれ...
晩秋の大安の日、曇りがちだが雨の心配は無さそうだった。今日は、いよいよ建物が地上に現れる建て方の初日である。規模が少し大きいので、...
私の現場もそれから2週間程して、コンクリートの基礎に土台を固定するアンカーボルトと呼ばれる鉄筋を埋める作業になった。在来工法ではこ...
ところで最近、住宅の施工技術をあれこれ取り上げて説明している参考書が書店に多く並ぶ。時々手にとって見てみるが、失礼ながら一般の施主...
基礎工事で鳶の親方に特別に頼んだことは、根切り(土を掘削すること)のあとに割栗石と呼ばれるこぶし大の石をケチらないで十分入れてよく...
実際、掘削してみると、所々に赤土が顔を出している。これが関東ローム層というもので、比較的安定した地盤として我々設計者の間では認識さ...
一週間経って、現場にやっとミニバックホーと呼ばれる掘削機械が運ばれてきた。鳶の親方とは初対面ではないが、清水棟梁が所属する工務店の...
鳶の親方に直接不満をぶつける前に、紹介者でもある清水棟梁に苦言を呈することにした。相手は職人、一本気な気質の人間が多いので、感情的...
住宅の基礎は大別して布基礎とベタ基礎の二つがある。建物の外周と部屋割りの壁の直下を深く掘り下げて、固い地盤に底盤を沈める布基礎が一...
遣り方が済んで基礎工事に入る前に地盤調査を行なった。鉄筋コンクリート造のビルともなれば、基礎工事前の地盤調査が法的に義務付けられる...
ともかくも、午前中に地獄のような地鎮祭を体験して、どっと疲れたが、気を取り直して、午後から建物の配置を決める「遣り方」を実施した。...
次に基礎を担当する鳶職人を選ぶ。多少迷ったが、清水棟梁が所属する工務店で古くからの付き合いのある人物に決めた。基礎工事の他に、上棟...
具体的に職人の人選に入る。木造である限り、工事の要は大工である。賃貸アパートを抱えたこの規模になると、大工だけでも毎日四名から六名...
自邸の建築工事は、もちろん直接職人達に工事を依頼する直営方式を取ることにした。通常の工事のように、どこかの工務店に一括して工事を委...