
ホテルのような室内を目指す
敷地は狭く、空間は三階建てで、横ではなく縦に伸びている。室内は、不燃ボードで覆われ、木などの燃えやすい材料は一切使えない。窓なんて...
単行本『建築家が自邸を建てた』(その歓喜と反省の物語)です。
敷地は狭く、空間は三階建てで、横ではなく縦に伸びている。室内は、不燃ボードで覆われ、木などの燃えやすい材料は一切使えない。窓なんて...
さて内装を決めるにあたって、何かテーマが無くてはいけない。なにせ建築家の自邸の設計だ。「なんとなく」では許されない。早速、事実上の...
上棟から約一か月が過ぎ、外壁廻りの囲い工事が終わろうとしていた。 「先生、明日から内装の下地を始めますが、天井も壁も図面通りでいい...
工事が終盤にさしかかった頃、現場の左官職人から電話が入った。 「もしもし、先生。外壁の仕上げ材が20袋ばかり足りません。至急追加し...
最近売れている(らしい)「いい家がほしい」という本を買ってみた。内容は、とにかく外断熱の優位性を主張したものだったが、その第一印象...
このところ、住宅建築雑誌に、外断熱の特集が多い。そういえば、私の事務所へ住宅の相談に来られる人達の多くから、断熱についての質問を受...
私の自邸の場合、まず、屋根と同じく、大半の外壁は通りからはまったく見えてこない。道路に面した僅かな西面を除いて、周囲に建物が密集し...
屋根が決まると、次に外壁の選択となる。外壁には防火性能が義務付けられているので、従来の左官材料か工場で加工されたサイディングが一般...
昔の映画に、よく雨漏れをバケツで受けるシーンが登場するが、あのようにはっきり場所がわかって、次の日に乾いてしまうようならともかく、...
高知県の親友、太田君を思い出していた。以前話題にしたことのある彼は「土佐派の家」と称して、その地域の風土に則した独特のスタイルを確...
このところ、毎日のように建築雑誌を買い込んで、参考になる外観を探してみると、やはり瓦屋根の建物は数えるほどしか掲載されていない。最...
建築家の端くれとしては、自邸の建設は千載一遇のチャンス。これを機に、羽ばたく建築家は多い。誰からも文句を言われないのだから、自由な...
上棟してすぐに屋根を架ける。言うまでもなく、木造の大敵は水。要は木材を長く雨にさらさないことだ。とにかく降られないうちに、屋根を完...
人生、結婚式に次いで晴れやかな瞬間が自宅を新築する時ではなかろうか。 翌日、三階の柱も交換され、午後には無事に棟木が座って屋根の小...
その後、清水棟梁の指示で、手際よく座敷が作られた。座敷と言ってもベニヤ板のテーブルに柱を横に並べてベンチの代わりにした簡単なもの。...
「加工を間違った材料は明朝のお届けになります。申し訳ありません」 真黒に日焼けした後藤さんが結論を出した時は、日はすっかり暮れてい...
時刻は午後三時を過ぎていた。とにかく無理をして組んだ屋根の部分をすべて解体することとなった。皆の疲労が一気に高まったのは間違いない...
ところが、それもつかの間、 「おーい、ちょっと待ってくれ!」 土屋棟梁の一声からその事件は始まった。工場で正確に加工されたはずの木...
現場は午後になって屋根を構成する登り梁の組み立てに入っていた。私もまだぐらぐら揺れる柱に抱きつきながら、梁伝いに三階の床レベルを歩...
職人達が引き上げた直後、子供達と爺ちゃん婆ちゃん達が現場を覗きに来た。 私と妻の両方の両親だから計四人。ガヤガヤ賑わしい。それぞれ...