
仕事は段取り次第
晩秋の大安の日、曇りがちだが雨の心配は無さそうだった。今日は、いよいよ建物が地上に現れる建て方の初日である。規模が少し大きいので、...
単行本『建築家が自邸を建てた』(その歓喜と反省の物語)です。
晩秋の大安の日、曇りがちだが雨の心配は無さそうだった。今日は、いよいよ建物が地上に現れる建て方の初日である。規模が少し大きいので、...
私の現場もそれから2週間程して、コンクリートの基礎に土台を固定するアンカーボルトと呼ばれる鉄筋を埋める作業になった。在来工法ではこ...
ところで最近、住宅の施工技術をあれこれ取り上げて説明している参考書が書店に多く並ぶ。時々手にとって見てみるが、失礼ながら一般の施主...
基礎工事で鳶の親方に特別に頼んだことは、根切り(土を掘削すること)のあとに割栗石と呼ばれるこぶし大の石をケチらないで十分入れてよく...
実際、掘削してみると、所々に赤土が顔を出している。これが関東ローム層というもので、比較的安定した地盤として我々設計者の間では認識さ...
一週間経って、現場にやっとミニバックホーと呼ばれる掘削機械が運ばれてきた。鳶の親方とは初対面ではないが、清水棟梁が所属する工務店の...
鳶の親方に直接不満をぶつける前に、紹介者でもある清水棟梁に苦言を呈することにした。相手は職人、一本気な気質の人間が多いので、感情的...
住宅の基礎は大別して布基礎とベタ基礎の二つがある。建物の外周と部屋割りの壁の直下を深く掘り下げて、固い地盤に底盤を沈める布基礎が一...
遣り方が済んで基礎工事に入る前に地盤調査を行なった。鉄筋コンクリート造のビルともなれば、基礎工事前の地盤調査が法的に義務付けられる...
ともかくも、午前中に地獄のような地鎮祭を体験して、どっと疲れたが、気を取り直して、午後から建物の配置を決める「遣り方」を実施した。...
次に基礎を担当する鳶職人を選ぶ。多少迷ったが、清水棟梁が所属する工務店で古くからの付き合いのある人物に決めた。基礎工事の他に、上棟...
具体的に職人の人選に入る。木造である限り、工事の要は大工である。賃貸アパートを抱えたこの規模になると、大工だけでも毎日四名から六名...
自邸の建築工事は、もちろん直接職人達に工事を依頼する直営方式を取ることにした。通常の工事のように、どこかの工務店に一括して工事を委...
「あなた一人で行ってきてちょうだい。私、子供のことで忙しいから」 水道橋駅近くにある住宅金融公庫の建物は、それはそれは立派で、職業...
まさに大ピンチ。普段は仲の良さなど自覚もしない私たち夫婦も、この時ばかりは戦場の同志と化していた。二人の一致した考えは、とにかく借...
自宅に戻った私達は、一度深呼吸をした。急いでは事をし損じる。再度資料を整えて、最近取引が始まったばかりの八幡銀行に出かけた。そして...
「申し訳ありません。融資は無理です」 当時、巷では銀行の貸し渋りが新聞紙上を賑わせていた。まさか我が身にその火の粉が降りかかろうと...
さて、本論の私の自邸の場合はどうだったか。前述のように、道路付けが悪いため、建物の一階の半分が車庫で、しかも車が回転する広いスペー...
これまでの木造住宅は、ある意味で大工の勘に頼ってきた部分が多い。彼らの経験から生まれる梁や柱の太さの決定は、強度もさることながら、...
SE構法も全ての梁と柱が組み合って骨組みが出来てしまえば、後の作業は従来の木造住宅とそれほど変わらない。その後の工事は順調に進むか...