厳冬の盛岡で雪中行軍
注文住宅の設計を依頼され、その打ち合わせで厳冬の盛岡に降り立った。
吹雪の晴れ間に顔を見せる岩手山の雄姿が眩しい。気温はマイナス9度、顔面が凍りつく。
都会で暮らす孝行息子が、故郷に住む母親を気使っての建て替え工事。実はこの青年、私が設計したマンションに住んでいる。「住み心地がいいから。」とはお世辞だろうが、ここはひと肌脱がねばならない。
敷地が広いので、迷わず平屋建てを提案した結果、快諾をいただいた。建築面積20坪足らずの小住宅だが、半端でない過酷な気象条件に技術力が試される。
設計には自信があるが施工をどうするか。東京の「チームクウェスト」の職人たちを出張させる予算はない。したがって、経験豊かな地元工務店を探し求めて吹雪の中を雪中行軍と相成った。地方で淘汰されてきた工事会社は、どこも素朴で誠実な対応をしてくれる。
その中で一社、難しい選定にこの仕事の正否がかかっている。