ARTICLE

火傷の訳

s_c20120627

不肖この私、足の裏を火傷して現在歩くことができない。数日前、梅雨の晴れ間に、自宅のベランダに素足で出て、アチチ! 。足の裏が目玉焼き状態になった。

築13年目になるこの自邸、三階のベランダに当時流行りのウッドデッキを敷いていたが、所々朽ちてきて醜い状態となっていた。いろいろ検討して、一昨年の秋に無垢の木から樹脂製のデッキに取り換えた。国産で色落ちが無く、軽い。材料だけ取り寄せて、自分達で簡単に設置できて大満足だった。

確かに経年変化も少なく、掃除も楽チン。「早く交換すればよかったね」妻も大喜び。比較的安価だったので、友人にも勧めた。ところがである。普段は、スリッパで歩くので感じなかったのだろう。樹脂がここまで熱を持つとは驚きだった。屋根の上で目玉焼きが出来るとは、よく耳にする話しだが、改めて自然の脅威を感じる出来事だった。

ところで、このデッキの下はそういえば、FRPという防水膜になっている。原料は樹脂なのだから、デッキが無かった当時は同じ環境下にあったはず。火傷をする程の高温になれば、たいていの材料は伸びる。収縮を繰り返すうち、劣化して亀裂でも発生すれば一巻の終わり。築10年以上を経たベランダの床は特に要注意だ。

屋根材や、ベランダのデッキなども、この過酷な状況下にあることを再認識して、建築の素材を再検討しなければならない。表面材もさることながら、下地の合板なども炎天下でどんな状況に置かれているだろうか。古来からの優れた瓦に、さまざまな材料が取って代わろうとしている今日、課題がまたひとつ見つかった。

関連記事一覧

単行本

建築家が自邸を建てた その歓喜と反省の物語

Amazon&大手書店で好評発売中!

Amazonで買う

最新記事