アラベスカート
間違っていたらゴメンなさい。イスラム教のモスクの装飾に使われる文様をアラベスクと言い、この連続模様に似ていることからアラベスカートと呼ばれるイタリア産の白い大理石がある。まったく濁りのない真っ白な石、ビヤンコカララより自然の縞模様が味わい深いので、私はこちらを好んで採用している。
太古、植物や動物の死骸が海の底に沈み、長い年月の間に熱や圧力で変化したとされる大理石は、さまざまな色彩と模様に富む。マグマが固まって変化した御影石と違って、比較的柔らかく水に弱いので、外部での使用は控えているが、艶がなくなる程度で溶けてなくなることはないので、端材を捨てずに敷石にすることもある。
以前、大手設計事務所に勤務し高層ビルの設計に関与した経緯から、有難いことに石工事最大手の関ヶ原石材と接点が出来た。岐阜県人は情に厚いので、小ロットにも親切に対応してくれるため、野に下った今でも、たびたび古戦場近くのこの工場に出向き、豊富なストック在庫から、好みの一枚を探しだす楽しみを味わっている。
ついでに御影石。由来は神戸近くの地名らしいが、建築業界では花崗岩の総称としてこう呼ぶ。固くて水に強いので、主に外部に使用する。最近、石工事は高価で重いので、
プリントされた石目調タイルに主役を奪われつつあるのが少し淋しい。
現在、久しぶりに公共施設の設計を任された。入り口付近の大きな壁の装飾に、定番のレリーフ画ではなく、自然石の大判を何枚か並べて、その素材感だけで勝負したいと考えている。何万年、何億年かけた自然の産物の迫力と美しさを求めて、来週、関ヶ原に向かう。