久々の上棟式で盛り上がる
特殊な金物とプレカット(柱や梁の先端に、事前に工場で複雑な加工を施すこと)技術は、マニュアル通りに組み上げただけで、水平垂直の修正がほとんど要らないくらい正確だった。これには在来工法に慣れた大工達も感心することしかり。
片付けを終え、日が暮れる頃、施主の計らいで、今時珍しくなった上棟式が始まった。 いつものことだが、苦労の後の達成感は格別なものだ。職人衆もいつになく口数が多くなる。後藤さんの日焼けした笑顔もそこにあった。施主の関根さんは、出来上がった骨組みの重厚感を見てやっと安心できた様子。これまでの木造軸組み工法と比べると圧倒的な存在感がある。きっと明朝からは夫婦の会話もなごんでくる筈だ。
施主の〆の挨拶がこれまた憎かった。
「これからも可児さんと清水棟梁を信頼して、全てお任せします」
またもや工事監理の仕事でも手の抜きようがなくなった。