「ブオー、ブオー」騒音がなんとも心地よい
一週間経って、現場にやっとミニバックホーと呼ばれる掘削機械が運ばれてきた。鳶の親方とは初対面ではないが、清水棟梁が所属する工務店の紹介なので、こちらも多少遠慮があった。
「親方、待ちくたびれたよ」
と嫌味のひとつも言わせてもらったが、
「いやぁ、前の現場が長引いちゃってよお」
とあっさり切り返された。肩透かしを食らった感があったが、いよいよ明日から本格的に掘削が始まるかと思うと、嬉しさが優った。
翌日、私達夫婦は、興味深々で現場に出かけてみた。なにせ、徒歩5分の距離、足取りは軽い。現場に近づくにつれてブォー、ブォーとエンジン音が聞こえてくるではないか。
「おお、いるいる」
職人三人とミニユンボが動いている。お昼近くだったが、もう半分くらい掘れている。
「超ウレシカー」
妻は興奮すると決まって長崎弁になる。それから二人はしばらくの間言葉もなく、ただ作業に見入っていた。ドリームカムツルー。