建築を左右する屋根の形
このところ、毎日のように建築雑誌を買い込んで、参考になる外観を探してみると、やはり瓦屋根の建物は数えるほどしか掲載されていない。最近の傾向では、屋根はあくまでフラットなのだ。時々、片流れか半円のカーブ屋根も登場するが。
今さら瓦屋根がうんぬんと言っているようでは、その時点で建築家の資格が問われてしまうようだが、結果が見えるがゆえに、往生際が悪くなる。多少の冒険を犯してデザインを優先すべきだともう一人の自分が語りかける。やはり現代風に流行のガルバニュウム鋼板やシート防水などに頼って、屋根をフラットにすべきなのか、なかなか答えが出ない。
たかが屋根の形状と材料選びだが、実はこの屋根が、建物の全体像を決定づける重要な決め手となるのだ。例えば、寝癖のついた髪形では、いくらスタイリッシュな洋服をまとっていても、その時の自分に自信が持てないのと同じだ。住宅に限らず、ビルの設計の場合でも、一番難しいのは、てっぺんと空が交わるスカイライン。ニューヨークの象徴ともなっているエンパイアステートビルを例にとるまでも無く、人々の心に残る名建築はこのスカイラインが、しっかりデザインされている。