クロス貼りの糊がシックハウスの原因か
ところで、クロス貼りを多用した場合、心配なのはシックハウス対策にどう影響するかだ。一時期、新築の家では、吐き気や目まいなどが起こり易いとマスコミに取沙汰された際、現場で職人たちに聞いてみた。私は、クロスそのものは当然のこと、接着のための「のり」の成分も怪しいと推測したのだ。
「主成分はデンプンなんだから大丈夫じゃないの」
職人たちからは、そんな程度の答えしか返ってこなかった。その「のり」を触ったり、匂いを嗅いでみたが、確かにデンプンらしい優しげな表情も手伝って、その時、私としては無罪放免としてしまった。メーカーに問い合わせてみても、
「大丈夫です」
との返答だった。
しかし、ここにきてようやく真相が見えてきた。最近仕事で知り合った表具師の岩井さんの言によれば、これまで「のり」では、防腐剤や安定剤としてホルマリンが混入されていたという。メーカー側としては、すぐに腐ってしまっては困るという理由も分からないではないが、その含有量次第では、人体への影響が心配される。このほど国土交通省が新しくホルムアルデヒド放散等級の認定を設けたことにより、各社とも改良を加えているようなので、以前のように異常なほど神経質になることも無いのではないか。
余談になるが、木造建築の場合、基礎から1メートルぐらいの高さまで、外壁に白蟻の防蟻剤を塗布することになっている。以前は、これがすごい刺激臭で、完全防備した専門の職人がいた。ヒ素が入っていると聞いたこともある。「白蟻に効くのだから、きっと人間にも毒に違いない」。色白の私は、当然皮膚も弱いので、塗付した後は、しばらく現場には近寄らない事にしている。最近は、ヒ素入りカレー事件もあってか、随時改善されて刺激臭の少ないものになってきているようだ。
先日、大工が「人体に無害」という塗布剤を探してきた。ホウ酸が主原料だとか。
「おう、それそれ。それにしようよ」
申し訳なさそうに「かなり高い」と言う。こうなったら高いのなんのって言っていられない。工事を担当する職人も、そこに住む人達も健康な体あってのモノダネだ。