日本の家から和室が消えていく
これまで東京都内で設計を依頼された住宅では、土地から購入して新築するお客さんが多かったせいか、広さに余裕がなく、和室を設けた家は意外と少ない気がする。最初から、
「和室は、要りません」
とサバサバした人も何人かいて、確かに和室離れが進んでいると感じていたが、半数以上の施主さん達は
「敷地と資金が許せば一部屋は和室が欲しいよね」
とのことだった。
そんな施主のために、四畳半程度の畳のスペースを居間の片隅に置いたらどうかと提案して、いくつかは実現した。数年後に住み心地を聞いてみると、子供を寝かしつけるもよし、帰宅後にゴロンと横になるもよし、それはそれで
「とても良かった」
ようだ。
ところで、こんな場合の畳敷きは、いずれも洋風の壁と天井に囲まれた中に置かれるわけで、畳と相性ぴったりの障子までしつらえることは少なかった。障子の効能を以前からよく知っている私は、
「大使館公邸なんかでも障子が好まれ、よく見かけられますよ」
とやや強引に勧めてみるのだが、ほとんどの若い施主さんにはピンと来ないようだ。